SAND STORM

朝ぼらけ

2008年12月31日

Gameを買うこととその効用 : SteamとCasual Game

Filed under: 未分類 — Tags: , , , , — sajin @ 15:02

その内的価値において、われわれはSteamで安値のgameを大量に買って損をしているのか、得をしているのか?

◇SteamのHoliday Sale

年末年始ということで最近急増中のPC gameのonline StoreはどこもかしこもHoliday Sale、つまり安売りを行っている。しかし、その中でもValveの運営するSteamのそれは凄まじい。$9.99 -> $0.99など、実際に在庫を倉庫に積んでいて一刻も早く処理したいという業者でもここまでやらないだろうという価格設定だ。

Gabe NewellがMicrosoft出身ということもあるだろうが、いけるときにあらゆる手段を用いて徹底的に市場の占有率を拡大して競争相手を打ち倒し、規模を拡大して市場を支配する。そういった資本家のgame、事業のgameに忠実ということだろう。Steamの価格設定や刺激的な商法だけでなく、その製品製造過程を見ていると、Valve(Gabe)というのは心底客を見るのが上手で、その結果客を動かすcontentsを作ることのできる組織だ。客の内部にまで入り込んで調査し、それ製品に反映させ、さらに客の反応を得て循環させる、SteamにはValveのこういった本性が色濃く反映されている。

Valveの中核部分、つまりGabeがいいgameを作るとは思わないが、組織としてのValveの場合、gameの核自体は外部の独立開発者が作った原石のようなprototypeを拾ってきて、それをValveお得意の多数のtesterによる加工を加えた上で市場に売り出していく、そのようなsystemを構築しているおかげで本質的な弱点は覆い隠され、逆に既存のpublisherを押しのけてむしろ市場に確固たる地位を築くほどの人気を誇っている。

そんなこんなでkiller titleが多いこともあって、Steamのgameを数多く持っている人も多いだろう。わざわざpackageで買おうとは思ったこともなかったCasual gameを遊んだことのある人も多いはずだ。

◇Steamの認証と疎隔感

既存の物理媒体でgameを入手することと比べて、Steamで所有することによる人間的な価値の損失は三つにわかれる。

1.ほとんど気にならない:Left 4 Dead/Counter-Strike:Sourceなどonline対戦中心のgame

2.気になる:singleのFPSなどonlineを前提としないgameだが、ある程度まとまって時間を掛けてplayするgame

3.邪魔:思いついた時に直ぐに起動して直ぐにやめたいCasual game

1の場合、これらはむしろこういう形でmaster serverの維持、Steam accountと絡めた不正player管理や、gameの改良、patchの継続などをキッチリとやり続けてもらいたい部類。

2の場合、認証によって手間がかかるということもあるが、なにより所有することの満足感、安心感が毀損される。こういった所有感の毀損は、買って失敗してもこの価格ならいい、安値でしか代償されない。残念ながら、こういう態度は作品に対する人間の側の内的価値を下げてしまう。一級の美術品も無造作に放り投げ、土足で踏み倒し、落書き用の紙としてしか使わなければその程度の価値しか生まない。ただより高いものはないと言うが、こういった態度は自らの手で、作品をそういった所に引き下げてしまう。

3の場合、わざわざSteamを介して起動しなければならないので、casualがもたらすべき安楽さ、即興性が大きくそがれる。Casual gameを楽しむ際、game内容が気軽であるかどうか以前に人間の側を安楽で気軽な状態に保ってくれないとその前提が崩れてしまうが、playするまでに長時間待たされたり、なにやら訳のわからない関係のないものがゴチャゴチャ出てきたり、そんなことでは到底気軽にplayできない。つまり”casual”ではない。

特にCasual gameで顕著に感じるのだが、Steamを通した場合、gameを別の部屋の箱の中にゴチャゴチャに入れてしまったような感じがする。それは疎隔感とも言えるし、gameを粗末に放擲してしまった感じを受ける。これは同じgameをするといっても、人間の側の心持ちがまるで異なるからだ。運動競技場に行って対戦なり何なりする(1の部類)のに、多少距離が離れているのを問題にする人は少ないだろう。対照的にCasual gameというのは身近にいつでも使えるように置いてある、卑俗な言い方をすれば袋を開けたsnack菓子だとか読みかけの漫画だとかそういったものだ。こういったものを一口食べる度に倉庫に取りに行ったり、数頁読む度に図書館に行かなければならないのでは、たとえ無料であったとしてもかなわない。

この疎隔感はshortcutでdesktopに出してもあまり変わらない。これはSteamが裏で働いて、表に姿を見せないServant(召使い)ではなく、その存在を誇示するMaster(主人)として振る舞うからだろう。自分の経験から得た結論だと、Casual gameは一度やらなくなった後、妙なかましや面倒なsystemを通さなければならないとなると再びやる可能性が極度に低くなる。遊べないことはない、ただそそこには心理的障壁が残ってしまっているのだ。わざわざ別の部屋に行って箱を開けて中身を広げて遊ぶ、それならその分時間をかけて本格的に遊ぶ価値のあるものでないと釣り合いが取れない。

これについてはquestionnaire(アンケート)をつくってみた。

投票は購入した全体の中でもっとも多く当てはまるものか、もしくは該当するものを複数投票(投票設定側になく、Cookieを削除してもresetされないので無理)でお願いします。

最初条件を示していなかったので長期間遊んでいるの選択が多くなっているが、そんなものだろう。#1

◇元を取る

Steamというのは確かに安価にCasual gameが手に入るのだが、そうして早期に遊ばなくなるものも多いということは結果として得をしているのだろうか?

話は変わるが、仕事をしていると「元を取る」という言葉を聞くことがある。その意味は、買った金額の分だけその物を使ったかどうか、を問うている。幾ら安値で手に入れても、それが部屋や仕事場を埋め尽くし、挙げ句最初触ってみただけで使っていない=役に立たないとなれば、単に導入に費用がかかったというだけでなく、存在するだけであらゆる作業の邪魔になる馬鹿げた代物でしかない。逆に高額なものであっても、それがしっかりと日常的に使われており、欠かせない価値を生み出しているようなら高い買い物でも何でもなかったということだ。

幾ら安く手に入ろうと、タダで手に入ろうと、その”物”は物理的な場所であれ、自分の心の中であれ、場所を取る価値があるのか

・その”物”を使用しているか
・その”物”が価値を生み出しているか

この二つを軸に常に”元を取った”かどうか自問していく必要がある。そうして自問した時、自分がSteamの中に持っている山の様なgameは役に立っているのだろうか?個人的には大きな疑問符がつく所だと思う。

◇Gabe以外の人間にとってのSteamの意義

一見、個々人にとってお得に見えるSteamでの購入に色々疑問を呈してきたが、Steamがもたらしたものに一体何か良い点はあるのだろうか。

それは、なによりも”放っておけば一部の人にしか遊ばれなかった作品を多くの人々に遊ばせたこと”だと思う。Gabe Newellのやっていることは虫が好かない、という人も多いだろう。しかし、こういう優れた商人が居るから、物が循環し、結果として作品が多くの人の目に触れることになる。

正直Half-Lifeに代表されるValveの本質がそのまま作り出すgameはあってもなくてもどうでもいいものだが、GabeがValveやSteamを用いてやっているgameは注目に値するものであり、業界になくてはならないものだ。

逆に言えばよくよく考えてみればSteamでの購入は個人にとっては必ずしも得ではない。商売人がもってくるものを安値に釣られてそのままホイホイと買うのではなく、他の選択肢を知って試す中で自分の中で本当にgameを役立たせる道を模索すべきだろう。


#1 このQuestionnaire(アンケート)そのものは適当

1に投票した人は「慎重に遊ぶ価値のあるgameを絞り込んで買った、だから長期的に遊んでいる」とも取れるし、「己が間違った選択をしたなどと思いたくないので投票した」とも取れる。逆に3を選んだ人は「自分の間違いを客観的に眺めて、それを忌憚なく表現できる優れた人」とも取れるし、「ただ考え無しに買っただけ」と取ることもできる。

その人のMy gamesのscreenshotでも添付してもらわないと最低限のことすらわからない。例えそうしてもらってもいつどれだけplayしたかなどわかりようもない。ところがValveにとってはあなたがどのgameを持っているか、どんな時にどの価格で買ったのか、どんな価格に下がるまで買わなかったのか、それぞれをどれぐらいplayしたか、どのような時期に集中して遊んだか、それから触っていないか、定期的に遊んでいるか、一切合切全部筒抜けだ。Communityのaccountで見れるのはせいぜいここ二週間に遊んだgameの時間に過ぎないが、Valveにはすべてお見通し、Steamというのはつまりそういうことである。


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