SAND STORM

朝ぼらけ

2011年9月4日

Close Combat 5: Invasion Normandy / The Longest Day – 批評

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◇上陸戦の醍醐味

まさにNormandy上陸作戦

同じNormandy上陸作戦を扱った初代はあくまで上陸後の戦いで、上陸時の戦闘そのものは割愛されていた。その初代で味わえなかった上陸戦が嫌と言うほど味わえる。なにせ十数に渡る海岸全域にわたって一挙に上陸作戦が決行されるのだ、よって初日からしばらくはひたすら上陸作戦が続く。

わずかな遮蔽物を利用し、不利な場所から強襲上陸仕様のShaman DDを駆使して血に染まる海岸を前進していく。mortarで煙幕を焚きまくって抜けてみたりと他の地形とはまったく異なる戦術が必要になる。一見似たような海岸が多いが、港街や岩だらけの岬などそれぞれに特徴づけられていて面白い。

◇より細密に描き込まれたmap

自然な形で表現されたbocageや散乱するglider群など、細密に描き込まれたmapは美しい。

Normandyは海岸からの強襲上陸と空挺降下を組み合わせた作戦で、特に初日は内陸に降下した空挺部隊の戦闘が頻発する。

bocageに潜んだ歩兵の防御力は半端ではなく、普通の銃撃では百発撃って数発あたる程度。建物に篭るより防御力がある。またbocageは他のいかなる地形よりも視線をさえぎる力があり、攻撃されだしたと思ったら少し後ろに下がれば相手はその姿を見失ってしまう。

強力な戦車もbocageの檻の中では移動を著しく制限され、歩兵をいかに使いこなしていくかが勝敗を大きく左右する。

最終目標の一つCaenを巡る攻防。

六日夜に空挺部隊が降下して夜間戦闘、翌朝から上陸作戦開始、九日には作戦が終了と、四日しか戦う期間はない。その間にも陽動作戦で主力を別方向に向かわせてしまったとは言え、独軍機甲部隊がちらほらと駆けつけてくる。

海岸から離れれば艦砲の支援も期待できず、市街戦はひとつの建物を落とすのに多くの血が流される。とは言え戦車・砲・機関銃などの良い所、悪い所の両面が出て、遮蔽が多い分歩兵の運用も効くので慣れれば手間ばかりかかるbocage戦より面白い。

◇戦略層

戦略層では戦闘集団を移動させてareaを取り合い戦いを進めていくが、戦闘集団はどれも四つのparameterを持つ。

Ammo (弾薬): 払底しかけると保有弾数が少なくなっていく。ただし、battlegruop全体で払底していても個々の部隊が持っていない訳ではない。

Fuel (燃料): なくなると戦略map上を移動できなくなる。これも集団全体で払底しても戦術mapにおいて車輌が動けない訳ではない。

Fatigue (疲労): 全般にperformanceが落ちる。

Cohesion (指揮統一): 下がると登場段階から士気が下がり、結果命令に対する反応が鈍く非効率的になる。損害で低下。

AmmoとFuelは補給源から補給線が繋がっていて戦闘中でないこと、FatigueとCohesionは戦略map上でRestにcheckを入れることで回復する。なにもしないだけではrestにならない。

つまり補給線を遮断したり、戦闘から逃れさせずfatigue/cohesionを下げ続けたりすれば強力な部隊も弱体化させられるということになるが、そこまで決定的な効果はなく、ここは0になれば全く動けない、撃てない、集団が崩壊するといったはっきりした味付けが欲しかった。

××stackできない

戦略層のgameで最大の問題は複数の戦闘集団が同じ領域に入れないことだ。ある集団がどんなに撃ち減らされようと別のbattlegroupを同じareaに入れることができないので、ある地域で拠点に立て籠もって必死に防衛していた部隊を救出しに他のbattlegruopがそのareaに進入、残存部隊と協力して後詰め戦闘を行う、といったことはできない。

他の部隊が先にいたから入ることができなかったといった結果は実際に移動phaseを実行してしまわないと表示されないので、Area-Aから集団1が脱出し、他の集団2がArea-Aに代わりに入って戦おうと思ったら、移動先で妨害が入って移動できずそれを前提にしていた集団1は脱出できないといったことが起きる。特に防御側のAxisでは撃ち減らされた部隊を逃したり、他の集団と統合したいのにそれができないのはかなり不満が残る。

ここら辺りmegaupdateが行われたのだから、後発のLSA同様に改良してもらいたい所。

・Battlegroup

戦闘前の編成で、すでに登録されている15slot+左の予備要員からpoint内で好きに選び出して編成できる。触りはいいが解説文は一切なく、兵器に対する知識を持っていないと何がなにやらわからない。

×補充ができない

戦いを重ねるごとに経験を積んで個々の兵士の能力は増減してゆき、経験値はあらゆる行為を底上げするし、士気が増加して危険な場所でも命令をこなす部隊となっていく。逆に、負傷すると身体能力が下がってしまう。

当然のことながら、incapacityで欠員が出たり、injuredで負傷状態であれば交替要員を入れて補充したいのだが、このbattlegruop systemでは一度reserveに返して、まったく別の経験を積んでいない人員により構成される新規部隊を召喚することでしか補充ができない。奇妙なことに、欠員があるのに該当部隊のreserveがまったくいない状態で戻しても召喚しなおせばfull memberになっているし、そもそもこのbattlegruop systemは敵の部隊構成を自軍同様に参照できるのみならず、操作して編成を変えてしまうことができる。例えば歩兵ばかりにして戦車一台で蹂躙できるようにしたり、一部隊しか編成せずに簡単に勝てるようにしたりといったcheatができてしまう。

playに支障はないものの、おかしい所が多く釈然としない。

◇戦術層

・支配領域の継承

2/4/5では一日が細かく区切られ、相手を全滅させるか徹底的に追い込んで撤退させない限り、同じ場所で何度も戦闘を繰り返しながらVictory locationを核とした拠点の征圧を競っていく。

流れとしては、

戦闘が中断(時間切れ、士気喪失)

確保していたVictory locationと自軍部隊が通過したり優勢であった場所が自軍配置可能領域として引き継がれる

次戦闘時その配置可能領域にreserveから補充し、新たに編成した部隊を配置して戦闘再開

と確保領域を増加しながら相手を撃ち減らして完全撤退か全滅に追い込むまで戦うことになる。

××Victory locationと関係ない場所に登場可能場所が残る

困ったことに、自軍が索敵して制圧下に置いている場所以外は、それまで占領していた側の登場可能場所としていつまでも残り続ける。

前の戦闘ではまったく敵がいなかったが、自軍が行かなかったので変な形でぽつっと後方に登場可能場所が残ったなと思ったら、次に再開した時にいきなりそこから敵が涌いて出て後方のmortarをやられたりといったことが起きる。CCはmapが広い癖に足が遅く、一々そんな場所をclearしていたら部隊がまったく無駄になってしまう。しかも、単に歩いただけでは自軍征圧判定されず、多くの部隊を駐屯させて影響力を上げる必要があるので尚更無駄が増える。

LSAではvictory locationと接続しない場所は登場不可というruleになっているが、VLからcutされたareaや前の戦闘で部隊が行かなかった場所は中立areaにしなければ駄目だ。

◇AI

AIに関しては初代以来機能している指示さえすれば細かい事は自動で実行してくれる基盤に加え、戦車と歩兵が巧みに協調して行動するなど進化した点もあり、基本的にはsingleplayでやっていても存分に歯ごたえのあるplayができる。しかし、大きな問題が幾つもあり、それがtLAを不快性の高いものにしている。

××防御構造物の中で砲や歩兵が柔軟に射撃可能な位置を取らない

防御構築物であるbunkerなどでは歩兵が有効な射撃角度を取るように配置することが困難な上に、勝手に場所を動いて使い物にならなくなったりする。大型であれば砲は設置できるが、防御上の優位は特になく、海岸からの一撃で容易に破壊される。こういう”大規模防御構築物からの砲撃・銃撃には絶対に勝てないので歩兵が苦心惨憺して裏に回りこんで征圧する”というのはNormandyの代表的戦闘だと思うのだが、構築物がろくに機能しないためにほとんど起きない。

防御構築物として有効に機能するのはその手前にある小さな黒土色の円形構築物で、こういう多数存在する汎用のものは小型で砲撃には弱い。また狭い構築物の中で位置を微調整しようとすると馬鹿げた事にAI歩兵はその一部が外に出て簡単に敵にやられてしまう。

厄介なのが、開始当初は射撃範囲を確認して最適の場所においても、後から勝手にその場を動いて射撃できなくなることだ。そしてCCには兵員個々の細かな位置を微調整する方法が全くない。あくまで隊全体でしか指示できず、細かな場所はAI任せである。砲を建物の中に置いても同様の勝手に位置を動いて射角が取れなくなってしまい、元に戻せないということが起きる。

Normandy上陸作戦という数少ない独軍部隊が防御構築物に拠って効果的に防御を展開することが一方の前提となるgameで防御構築物とAIの絡みの悪さを見せつけられると続けるのが馬鹿馬鹿しくなる。

×××攻めてこない

例えば海岸の砂浜部分だけは勢いよく攻め上がってくるが、そこを過ぎる前に攻撃を受けると防戦状態になり、以後ほぼまったく攻め上がってこなくなる。戦車があって、こちらの砲類をすべて潰した戦力比で圧倒的に有利な状況にあってすら攻めてこない、そういうことがままある。結果どうなるかと言うと、制限時間が過ぎるまで(設定していなければ永久にだ)、延々こちらが散発的な射撃を行い、弾が尽きれば待つ以外にやることはなくなる。こちらから射撃したり出ていって姿を見せれば相手も攻撃を仕掛けてはくるが、そもそも防御する側のAxisがそれをやる意味はまったくない。

もちろんこういった微速前進、ほとんど停止といった侵攻でも次第に支配領域を拡大していって最後には征圧することになるが、そんなものと付き合わされる人間側はたまったものではない。この簡単に停止状態になってしまう現象はCross of IronやLast Stand Arnhemなど他のseriesには一切見られずbugに近い。このAIの不活発性のために、実質独軍側防衛戦における多くのmapでのplayが退屈極まりない時間潰しに成り果ててしまっている。

◇Close Combatに必要な能力を十分備えていないAIと命令系統

これは初代以外のseries全般に共通することだが、移動目標を設定した時に取る経路がLoS回避を優先しない。自動的に回避できる場所を選びながら移動するなんてことは100%ないし、塹壕沿いに移動指定したから当然、列を為してその中を移動してくれるのだろうと思ったら、逆に飛び出してばらばらに動いてしまう。

この移動目標を設定した時に道路など最速で移動できる場所を自動的に選んで移動する、そして塹壕などがあれば敵弾回避を優先してそれに沿って移動するというのは初代のCCではできていたことなのに、なぜ以後のseriesでこれらが不可能になっているのか、そして未だにできないままなのかさっぱり理解できない。

しかもAIの部隊は塹壕沿い移動などをちゃんとやっているようで、player側に適用されないのはどうにも理解できない。

そもそも、Close Combatはseriesを重ねている割にAIと指示systemに進化がなさ過ぎる。

初代以来、簡単な移動場所への指定、その速度(≒姿勢)、攻撃/防御/待ち伏せしか指定できない。これは初出の初代では妥当だったが、2以降で指示手段がまったく増加していない。

・移動目標

・保持姿勢(立位、しゃがみ、伏せ、戦車なら前面方向保持)

・移動速度(全力、通常、ゆっくり)

・視線/射線回避をどの程度優先して移動するか

を切り分け、重ねて指示できるようにすることが必要で、また隊としてではなく、兵員個々の位置指定なども可能にすべきだ。

これらはあったらいい程度ではなく、Close Combatというgameにおいてなければ困るものだ。実際に作戦級で同じく指定した命令をAIが実行していくPanther GamesのAirborne Assaultなどはこういった移動時における付帯命令をsystemとして取り入れている。散々seriesを重ねてきたCCが未だにこの様では進歩がないと言われても仕方ない。

◇scenarioなく乱造される戦闘

初代やCC3と違って、2/4/5は戦略層で戦闘集団の駒を動かしてぶつけ合い、そこで何度でも戦闘が発生するsystemになっている。戦略層でもgameを行い、幾らでも違う戦闘が行えるといえば聞こえはいいが、scenarioもなく自動生成される戦闘は締まりのない似たような戦闘が幾度も幾度も延々と続くことがとにかく多い。

内陸の方には特徴あるmapもちらほらあるのだが、戦いの舞台となる機会はかなり少ない

また、これは現実の作戦を再現した以上仕方がないのだが、Grand campaignなどでは初期はやたらと上陸作戦が、上陸後は都市を目指してのbocage内での戦いばかりが、最後の方は市街での戦いが多くなり、playに偏りがでる。

加えて、CC1/3と違って一日が数turnに細分化されている2/4/5は、同じ場所で延々戦闘を繰り返す事が多く確実に飽きがくる。これは初代や3/CoIのcampaignと比べると顕著で、あくまでそのmapを徹底的に戦ってケリがついたら次に行くというsystemから、細切れにされた一日の中でその時間に起きる戦闘を並列的にplayし、それを何度も繰り返すという型になっているのが原因だ。

そもそもClose Combatを真面目にやると初期配置から部隊の展開までかなり細かな作業をしなければならない。一回勝負であるとか、長引いてもせいぜい2~3回でケリが付くならそうやって細部まで拘って真面目にやるのも楽しいが、同じmapを五回も六回も延々やらされるとそういう作業を繰り返すのが実に面倒になってくる。

作業的戦闘を幾度も幾度もこなさなければならないのは、このsystem最大の欠点だろう。

[総評]: Axis側の待ち時間がThe Longest Day

大きな魅力を持つ反面、細かいが重大な不満が散在する。とはいえ、remake seriesの中でCoIを除けば、tLAは基盤となるもので、Close Combatをplayする時に外すことはできない。

初代で表現されなかった上陸作戦をたっぷり味わえるし、問題の生じないAlliesを中心にplayするのが筋だろう。


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