SAND STORM

朝ぼらけ

2012年2月15日

Kickstarter – 遊びたい人が資金を積み立てる開発基金がgame製作の流れを変えるか

Filed under: 未分類 — Tags: — sajin @ 02:56

Kickstarterという通常の商業経路では製作できないような作品の制作費をその作品を遊びたい個々人から集めて、開発者を支援するsiteがあり、Double Fineというdeveloperが今時受けそうもないpoint-and-clickのadventure gameをつくるから出資してくれ!と呼びかけたところ、目標金額の$400,000(約四千万円)をわずか八時間で達成し、まだ一月ほどの余裕を残して二百万$近いpledgeを集めて大きな話題になっている。

この快挙にMinecraftを開発したNotchやPositech gamesのCliff Harrisなど多くのindie game業界の有名人が称賛のcommentを寄せ(Devs celebrate Double Fine’s Kickstarter success @ Edge Online)、またこれならもう既存のpublisherなんかいらないのではという記事が出たり、大手publisherに見捨てられた過去の名作の続編も製作可能だと各所でわき上がっている。

Double Fineの創設者Tim Schaferは元はLicas ArtsでManiac Mansion 2にあたるDay of the Tentacle(Wikipedia)やGrim Fandango(Wikipedia)をdesignした人物で、2000ADに自前のstudioを創設してからはPsychonauts、最近ではRussiaの入れ子人形(マトリョーシカ)に題材を取ったStackingやHalloweenの子供の冒険を描いたCostume Questなど特徴有る世界観、親しみ易いcharacter表現とgame性が一体になった作品を出すことで定評がある。(Double Fine > Games)


◇Kickstarterのsystem

寄附や慈善、商売ではなく、しっかりとした枠組みをもった新しい創造的作品や計画への基金として行われ、見返りは金銭ではなく低いpledgeでは作品のcopy、後は金額に応じてcreditへの名義登録、game内にcharacterとして登場、開発者との食事など金銭以外の特別なものになる(なにが特典になるかは計画者が決める)。

あくまでもpledge(支払い約束)として募集が行われ、期限までに目標金額を越えるfundが集まればbackers(支援者)には支払い義務がcreatorには製作義務が生じ、約束したrewardなども履行しなければならない。逆に目標金額に到達しない場合すべてはチャラになって支払われないが、その場合製作の義務も生じない。Kickstarterでは、この方式が開発者と支援者双方のriskを減らすと語っている。(Kickstarter Basics)

試して見たが、現在支払いはAmazon paymentでしけ受け付けておらずUSA Amazonのaccountがないとbackingは不可能。これはpledgeをした時に支払いが発生するのではなく、期限が来たときに金額が目標に達していた場合のみ課金が行われるという特殊なsystemの為だろう。

Kickstarterで出資を呼びかけている作品はCode Hero: A Game That Teaches You To Make Gamesというprogrammingを教えて、そのskillを試すことをgame化するものだとか、Pixel Sandといったfalling sand gameを進化させてplatformerにしたものなど通常はpublisherが金を出さないだろうなというものばかりだ。


◇playしたい人が製作資金を出すplayer-supported fundingは主流になるのか

Q.U.B.E.製作を支えたIndie Fundの様に独立した開発者たちが組織して基金をつくったりplayerによる基金積み立てで独自のgameを製作しようという動きは生まれており(8-Bit Fundingなど)、中でもIndie FundはWorld of Gooの2D BoyBradeのJon Blowらが中心になって起ち上げた基金で、大手publisherが押し付けてくる何億円もの過大な開発予算とそれに見合った収益を得られる”大作”が開発側の創造性を殺してしまうことや、Games for Windows Liveのような手続だけで四ヶ月もの時を費やさねばならない手間から解放され、本当につくりたい独自性と創造性に溢れたgameを届けることができると訴えている。

GDC Gallery: How The Indie Fund Could Change Game Dev Destiny @ Boing Boing – Jon Blow手製の図でわかりやすく説明している。

Kickstarterに代表されるplayer-supported funding が大きな流れとなってgameが次々生み出されていくのかとなると、Double Fineの様な数千万円から億単位の金を集める企画や有名人は極一部で目標金額にすら到達しないものも多い。例えば、先に挙げたCode Hero: A Game That Teaches You To Make Gamesなどは目標の五分の一も集まっていない。かと思えばIndependent Gaming Festivalに出場するための$150を出資して欲しいと頼んで$2000以上を獲得したdeveloperもいる。

かつてGathering of Developers(Wikipedia)というSerious SamやMax Payne,Mafiaを世に送り出したdeveloper主体の組織があったが、開発費の高騰には打ち勝てずTake 2に吸収されたことがあった。形態としてIndie Fundはそれによく似ており、まだどっちに転ぶのかわからない段階だ。

Indie fund,player-supported fundingはまだまだ始まったばかりの試行錯誤の状態にある、しかし、開発者が自分達の創りたいものをそのままつくって世の中に出す、それを遊びたい人が直接資金を出すという流れは確実に育っていくだろう。今回百万$単位の金を集めたということは大きな実績となり、大手publisherの元ではまず出てこない本当に開発者とplayer双方が望む作品が生まれるに違いない。

PC gameというすべてが生み出されていく場所では、こういうことに参加してこそ面白い。あなたもこれはと思う作品にpledgeしてみてはどうだろうか?

[Link]

Cloud funding @ Wikipedia – charity文化が根付いている欧米が発祥。micropatronageやfundraisingはその手法のひとつで、Kickstarterに似たcrowdfundingは多くある。

購入と寄付の境界線 ~ Kickstarterに垣間見る境界線のゆらぎ by 小川育男 @ VentureNow


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8 Comments »

  1. このやり方は非常に興味深いです。
    User側も『支援している』という誇りが得られるので、案外受け入れられるのではないかと思います。
    特に寄付の機会が多い欧米には馴染みやすそうです。

    私がpledgeしたNexus2は成功に至らなかったのですが…
    それでもある種の連帯のようなものが感じられて楽しかったです。

    Comment by onigi — 2012年2月15日 @ 17:49

  2. game以外の漫画とかも多いから、日本のようなsubcultureの発達した国こそ適合すると思うけどどうだろうね。
    寄附文化もそうだけど、こういうものを起ち上げる力のない日本だとGoogleみたいな所がhostし始めたら一気に吹き飛ぶんじゃないだろうか。
    支払いと参加の障壁が下がれば作品の製作は旧態依然としたpublisher主体の状況から大きく変わると思う。
    電子書籍化を妨害するような腐った業界がbypassされるようになればこれほど面白いことはない。

    Comment by sajin — 2012年2月16日 @ 04:36

  3. Wasteland creator looks to Kickstarter for series revival
    http://www.gamasutra.com/view/news/40362/Wasteland_creator_looks_to_Kickstarter_for_series_revival.php

    Falloutを生み出す前段階となったWastelandの製作者でInterplayの創始者でもあるBrian FargoがKickstarter型のfundraisingで続編を創りたいと語る。

    Comment by sajin — 2012年2月17日 @ 14:35

  4. 確かに。
    subcultureのcommunityでは元来UserとMakerの距離が近そうなので下地は完璧です。

    こういったことが活発になれば、社会の主流でない創作物への見方も変化するのでしょうかね。
    良いものや新しいものが隠されてしまわない世の中を望みたいです。

    Comment by onigi — 2012年2月18日 @ 22:57

  5. http://www.kickstarter.com/projects/1615241469/resurrection-the-spirits-in-metal

    これいいなぁ。やっぱり芸術関連が面白い。
    後はboard gameとかplaying cardsとか安価なものもあるけど実物が絡む物は提供者と同じ土地に住んでいないと関われないのでbackingする気にはなれない。

    Comment by sajin — 2012年2月20日 @ 01:49

  6. http://www.kickstarter.com/projects/primerist/code-hero-a-game-that-teaches-you-to-make-games-he/posts/178718?ref=email&show_token=f4c101e0affa1292

    Code Heroは終盤に有名人やmediaが推してくれて一気にfund raisingが跳ね上がって結局成功した。このようなcaseは一部、とも言えるし、Kickstarterに載るような個性のある作品なら外部の支援は得やすいとも言える。

    http://www.kickstarter.com/projects/1017676492/americana-playing-card-deck?ref=category
    Bicycleのplaying cardsの復刻や企画品が幾つも成功しているが、やはり安価・適価で大量頒布できるgame系は強い。逆に大量頒布できない一品ものの芸術品などになれば大勢の参加は難しいだろう。別に自分のものにならなくとも近所の見に行ける場所にできるなら構わないが海の向こうのまず行かないだろうという場所では参加し難い。

    Comment by sajin — 2012年2月25日 @ 19:03

  7. Gamasutra’s Kickstarter Survey: The Results by John Polson
    http://www.gamasutra.com/view/feature/176839/Gamasutras_Kickstarter_Survey_The_Results.php

    Kickstarterでprojectにpledge(支払い約束による支持)した人へのsurvey。年収百万円以下の人が最も多い。
    他にもpledgeを考えたが止めた際の理由、pledgeに踏み切るperks(download contentsやdeveloperとの会合など)の内何が重要かが出ている。

    Comment by sajin — 2012年9月3日 @ 01:29

  8. 84% of the top 50 Kickstarter projects missed their initial shipping date
    http://www.techspot.com/news/51128-84-of-the-top-50-kickstarter-projects-missed-their-initial-shipping-date.html

    Comment by sajin — 2012年12月20日 @ 23:58

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