成すべき事があったので幕張に行ってきた。
行きの電車から客が多いと思ったら、途中の舞浜のDisneylandではなく、同じ海浜幕張駅で降りて千葉Marine Stadiumへ野球観戦しにいく人が大勢いたからだった。
加えて、同日に同じ建物で「ゲスの極み乙女」のlive、さらに夕方から今世界規模で人気が沸騰しているBABYMETALのliveもあり、それもあって人がかなり多くなっているらしい(帰りに見たがBABYMETALの客は格好から何から相当なものだった)。
多少雨に降られながら会場の幕張メッセに入る。ちょうどとらまつり2015という催しをやっており、これはComicketに似た同人即売会やcosplayの撮影を中心としたものである。
それにしても埠頭の巨大倉庫かと思わされるような天井の高い建物だ。
Comiketに比べるとこなれていない感じがしたが、これは開催が五年ごとであるかららしい。今のこの業界の勢いだともっと頻繁にやっていいと思うが。
場所に余裕があるため、会場内に屋台とそのすぐ前に椅子・机が並べてあって、食事には困らない。
また隣接する隣の箱全体を借りきってcosplay撮影場にしていた。自分も肉の万世のcosplayをした人などに写真を撮らせてもらったが、実際、人に頼んで撮影させてもらうには、それぞれの呼吸を合わせたり色々コツが必要なものだ。機会があれば練習しておくべきだと思った。
目的自体は昼前に達成したが、数時間後に何かあるというので、建物の外でぶらぶらして休む。向かいに千葉Marine Stadiumがあり、賑やかな音がずっとしていた。
幕張メッセは、奇を衒った設計の国際展示場と違って、倉庫のような同型の建物がいくつも連続した合理的な建築になっている。とらまつりの側は人が大勢いるが、他の箱まで移動すると簡単に休める場所が見つかった。長椅子に寝転がっているとゲスの極み乙女がliveに備えて練習する音が漏れてくる。
昼を過ぎてCosplay会場ではF.I.X.RECORDSのSuara、上原れな、津田朱里によるconcertが始まっていた。最後の数曲から聴き始めたのだが、三人で唱和するBrand New Heartが素晴らしかった。
AquaplusというとLeafのbrandで有名だが、雫・痕は好んでやったものの、To Heart辺りからGalgame色が強くなり、また続いて大きな流行となったONEやらAIRやらは性に合わないというか理解の糸口も掴めないという感じで、当時流行った主流の作品はまったくやらなかった。
結局、雫から始まるVisual Novelの流れは明治末から大正、昭和初期辺りのような一種の文壇として機能したのだと思う。その前身となる弟切草・かまいたちの夜を筆頭とする家庭用機のSound Novel、さらに根本のGamebookともにそれ自体が有力な作家を生み出す舞台とはなっていない。Visual Novelのみが虚淵玄など他の分野で活躍する作家を生み出したし、広くEroge(エロゲーム)で捉えれば、他にも長岡建蔵など個性ある作家が多数いた。
ErogeというとErosの側面からだけ捉えられて有害図書指定など迫害されることが多いが、本来の十八禁は表現内容に規制がない、自由な作品表現が行われる場である。十八禁でないものの方が、表現に規制がかかった中途半端なものでしかないのだ。世間から批難されるような創造の場でこそ、新しいものは生まれていく。
十五時半を過ぎてconcertが終わった後、突如guerrilla liveの告知が流れる。出てきたのは桃井はるこで、とらのあなとは創設時代から関係があるらしい。ノリノリで歌うのはいいが、事前告知がなかったために集まる客の数が半端なのが惜しかった。主催者から次回の公演も取り付けていたが、次回開催が五年後では遠いなぁ。
予定外のliveが終わって帰る頃にはすっかり後の祭りになっていた。