SAND STORM

朝ぼらけ

2016年10月17日

相場師と著作一覧

Filed under: 未分類 — Tags: — sajin @ 22:42

以下は著名な相場師や相場教育者を生きた年代と簡単な解説を付して、書籍を軸に並べたものである。つくった経緯は、単にPan Rolling社の和訳本の題名改竄が酷いので整理していたら増加したというもの。人物や書評は、きっちり読み込んだものから、まったく読まずにreviewや評判を見ただけのものまで、つまり適当である。常に工事中。

多くの人は相場で勝ちたいと、日夜涙ぐましい努力を続けています。そのために、次々と新しいことを学んでいきます。だから、頭の中に入りきれないほどの多くの知識が増加していくのは当然です。しかし、不要なものは捨てるべきです。また、知識に一貫性をもつことも大事なことです。

知識を多く得たからといって、それが本当に役立っているのか、あるいは、新しく仕入れた知識が技術の上達に役立っているだろうかということを考えて確認してみると、実に恐ろしいぐらい役に立ってはいないということが分かると思います。

恐らく自分の技術に対する不安感から何か読まずにはいられない、役に立つものがあるかもしれないから読む、あるいはすぐに役立つことはないかもしれないが気休めのために読まずにはいられない・・・、そんな自分の慰めのために読んでいるというのが実情でしょう。根本的な売買技術の上達には少しも寄与しない知識をいくら集めても無駄なのですが、何もせずにはいられないからなのです。

立花義正 『あなたも株のプロになれる』 p.220

Rating:☓=有害、★=2 ☆=1、S=時代を超えた価値。星は含まれる価値を示し、低いからといって役に立たないわけではない。



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世界の投機家・相場師:[Trader] / Gilded Age / After WWII
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[Classic]

Dickson G.Watts (?~1880~?) [ディクソン・G・ワッツ]

1878-1880のNY綿花取引所の所長。USAの相場師として含蓄のある著作をもっとも早い段階で著している。

Charles Henry Dow (1851-1902) [チャールズ・ダウ]

Wall Street Journalの創設者で、Dow Theoryにもとづいて1885ADにDow Jones Average (後のDOW30)という主要株式の平均指数を発明し掲載した。これがS&Pや日経225などの大元。

    Samuel Nelson “The ABC of Stock Speculation” (1912) – Dow Theoryという言葉を初めて用いた。
    William P. Hamilton “The Stock Market Barometer” (1922) – Dowの理論をWSJ連載の中で深め、洗練させた。
    Robert Rhea “The Dow Theory” (1932) – DowとHamiltonの研究を総合。

    E. George Schaefer “How I Helped More Than 10,000 Investors To Profit In Stocks” (1960)
    Richard Russell “The Dow Theory Today” (1961)

    DOW理論は、元々は景況を予測するためにDowが考えていたもので、当人による著書はなく、WSJで一緒に働いていた関係者が発展させまとめたもの。
    『先物取引のテクニカル分析』に基本が載っており、『マーケットのテクニカル百科入門編』が詳しい。市場平均はすべての要因を瞬時に織り込むといった考え方、相場を潮の干満(長期での上げ下げ)・波のうねり(中期波動)・波先(短期変動)で考える、市場全体・他の主要業種確認などが基盤で、相場を見る上で一番の基本となる。

1929年8月23日に、Wall Street Journal紙は読者に、株式市場で大いに儲けることができると告げた。同士の特別な水晶玉はダウ理論と呼ばれる。これは将来をじっと見るテクニックであるが、「主要な上昇トレンド」が株式市場に確立されたことを明らかにした。「秋の数ヶ月の見通しは、過去のいかなる時点よりも明るい」と同紙は幸せそうに謳った。ニ、三ヶ月して、誰もが破滅した。『マネーの公理』第四の公理

DOW Theoryの弱点は転換の把握が遅くなることだと『マーケットのテクニカル百科 入門編』第一部第五章 「ダウ理論の欠点」で説明されている。1929暴落の様に天底で短期間に急激な変動が起こる場合確認の遅さは致命的な結果に繋がる危険性が有る。これはあくまでDow Theoryがmajor trendの転換を捉えようとするためだ。

Wyckoffの『ストックマーケットテクニック基礎編』 pp.111-117 「ダウ理論を打破する」が統計的にDow theoryの利益率を大恐慌までの期間で調べ上げた研究をもとに批判している。

Richard Wyckoff (1873-1934) [リチャード・ワイコフ]

Ticker tapeしかなく、多額の手数料を要求された時代にDay trading,Scalpingでの成功を確立。相場技術から心得まで現代にもそのまま通底する。

    “Studies in Tape Reading” (1910) 『ワイコフの相場成功指南』『板情報トレード』 [★★★★★SS]
    “My Secrets of Day Trading in Stocks” (1919)
    “How I Trade and Invest Stocks and Bonds” (1922)
    “Stock Market Technique” (1933) 『ストックマーケットテクニック 基礎編』『スイング売買の心得』 [★★★★★SSS] – Wyckoffが自身の雑誌に発表した記事の選集。
    “Stock Market Technique No.2” (1934) 『ワイコフの相場大学』『相場勝者の考え方
    “Jesse Livermore’s Methods of Trading in Stocks”
    “W.D. Gann Interview”

    和訳本は、いずれも同内容のものを題名を変えて文庫化したもの。『ワイコフの相場成功指南』『板情報トレード』のみ、技術的な内容を含む。Stock Market Techniqueは、News Letterに出した記事を集めたもので、心得集。Ticker tape時代のことは『投資を生き抜くための戦い』 「72 テッカーテープの読み方についての補遺」についても参考。

こういう質問を受けることがある。「テープに現れた動きによって相場を判断するとしたら、これまで何年もの間、収集したり定期購読したりしてきた統計一覧や資料集やアドバイス情報やデータはどうしたらいいのでしょう。」
私の助言はこうだ。「それらを全部机の上に山積みにしたら、その机を窓のところまで押していく。そして、下にだれもいないのを確かめてから、机の片端を持ち上げて傾けなさい」

統計データが増えれば、混乱も増える。

売買の仕方を知らなければ株式相場はダイナマイトだ。

問題は株で損失を出したかどうかではなく、これからも出し続けるかどうかだ。

私はいいカモだった。知識もないのに他人の専門に首をつっこんでしまったのだ。

流れに従う最高の例は、密林を這って進む猪の背中にしがみついている猿である。

情報と勘を頼りに取引しているのだって?それなら、まだ服を着ていることを守り神に感謝しなさい。そんなことを続けたら、「今流行りの紳士服」の雑誌記事を読んで、最新型のビヤ樽を身につける羽目になる。

株式取引は単なるビジネス以上のものである。それは、その人次第で、芸術、科学、専門職のいずれにもなりうる。それで成功しようと思ったら、研究と精神集中が必要だ。副業や趣味で取引しようとする者も、少なくとも株価のトレンドを支配する原理を修得して、成功し続けるための足掛かりにすべきである。

ある銘柄で20~30pointの利益を上げることができる時に、なぜ、まったく動きそうもない銘柄や2,3pointの利益しか生み出しそうもない銘柄に手を出すのか。

第一の防衛線はストップ注文ーこれは仕掛けと同時かその直後に設定する。
第二の防衛線は、毎日あるいは週二回といった間隔で、必ず保有株を点検し、損の出ているものは成行きで売り払うようにすること。そうすれば、持ち株はすっきりした状態になり、閉じるべき時期が来るまで、利の乗ったトレードをそのまま継続できる。
この二つの防衛策を取らなかったために、さらに防衛線が必要になったとしよう。これが必要だということについては、問題なく賛成してもらえるだろう。そうしないと、思いがけない相場の動きによって資金を全部持っていかれてしまう可能性があるからである。それは、追証の請求に対して現金を差し入れないということである。ブローカーが追証の請求をしてきたということは、取引を行っていた時の判断が間違っていたことを示す最後の決定的な証拠となる。追加の現金を差し入れて、弱みを持ったポジションにこだわり続けるのは止めて、自分が間違いを犯したことを正直に認めよう。ブローカーと連絡を取って、損の出たトレードを閉じるのだーー今すぐに。 pp.173-174 「追証の請求に対して現金を差し入れてはいけない」

相場は常になすべきことを教えてくれる。「仕掛けろ、手仕舞え、ストップを動かせ、ポジションを閉じろ、休め、もっと良い機会を待て」。相場はこういうことを全部、あなたの心のなかに呼びかけてくる。そして、あなたは自分の心の中に入り込んで、相場の動きそれ自身、つまりテープからの指令を実際に取り出してこなくてはならない。
 相場について、相場が教えてくれる以上のことを知っていると思いこんでしまうと、まさにそのときから判断力が低下する。その瞬間から、満足のいく結果が得られなくなる。トレードのビジネスではテープがボスなのだ。その指令に従って、指示と寸分も違わないように動くことを学ばなくてはならない。それができるようになったとき、株式取引で成功に至る本道を歩むことになる。pp.181-182 「ティッカーテープに基づいてトレードをする」

値上がり後に買ったり、値下がり後に空売りしたりするのは、燃え盛る森の中の木造家屋を買うようなものである。

『ストックマーケットテクニック 基礎編』「なぜストップ注文が執行されてしまうのか」 pp.170

Jesse Livermore (1877–1940) [ジェシー・リバモア]

少年時代から場立ちで仕事をしながら、ticker tapeに現れるpatternの研究をし、”Boy plunger(突撃小僧)”の渾名で呼ばれた。伝説的な相場師だが、人に聞かれると親切に教える一面もあった。その技法はHow to Trade In Stocksで開陳されるが、特殊な場帳術である。

    Edwin Lefèvre “Reminiscences of a Stock Operator” (1923) 『欲望と幻想の市場』 [★★★★★S] – 元々はLivermoreへのinterviewを元に、名前を変えて出した伝記のようなもの。
    “How to Trade In Stocks: The Livermore Formula for Combining Time Element and Price” (1940) – [★★★★★SS] 近年出されたのはSmittenによる改竄があるので注意。『リバモア流投機術』は原著そのまま。
    Richard Smitten “Jesse Livermore: The World’s Greatest Stock Trader” (2001) 『世紀の相場師ジェシー・リバモア』[★★★★★] 伝記なので部分的な回想録のReminiscencesよりLivermoreの人生がわかりやすい。具体的な取引手法を明らかにしているのはこの本だけで、その点でも重要。

Fictionを交えた伝記風作品『欲望と幻想の市場』を読んだことの無い相場師はモグリと言っていいほど評価が高い。Livermore自身が著した”How to Trade In Stocks”(『リバモア流投機術』は、それ以上の価値があり、当人の人格も滲み出ている。

Livermoreは最後に自殺したが、その主因は女・家族関係のだらしなさが原因で、しなければいいものを派手な美女と結婚を繰り返し、その一方で浮気もした。その浮気が、最後の妻となった高慢なHarriet(ハリエット)による一時間ごとに電話で報告させる異常な嫉妬心を呼び起こし、必然まともに取引などできなくなって失敗が続き、さらに好きなだけ物を買い与え甘やかした息子による前妻Dorotheaへの銃撃なども重なり、最後は精神的にも追い詰められてのことだった。Harrietは巷間言われている「四度も結婚し、そのいずれも夫が自殺」したのではないが(事実はLivermore含めて三度の結婚、Harieetの前夫とLivermoreが自殺。最初の夫は離婚後に肺炎で死亡)、Harrietの前夫は1929大恐慌で蒙った損失のために自殺しており、つまりこの女は夫を支える気など欠片もなく、むしろ追い込んでいく典型的な悪女であった。Livermoreの最初の妻も、破産時に助けることなく離婚を選んでおり、似たような女を選んだ訳だ。Livermoreの様な世紀の天才であっても、日常生活が壊れたらおしまいである。

THE LIVERMORES: FACT OR FICTION?
Hansen: Tale of Omaha’s ‘black widow’ is too tempting to not investigate | Matthew Hansen | omaha.com

Gerald M.Loeb (1899-1974) [ジェラルド・M・ローブ] : Brokerで、投資観点を基盤とした投機。大恐慌の経験からBuy and Holdを否定。

    “The Battle For Investment Survival” (1935) – 『投資を生き抜くための闘い―時の試練に耐えた規律とルール』[★★★★★S]
    “The Battle For Stock Market Profits” (1971) – 前著から40年近く立ってLoebがその集大成として書いたこの本がなぜ再販されないのかがわからないが、1970sに出版されたきりなので古本を手に入れて読むしかない。「人々は売るために株を買っている」「株価の頂点は業績の頂点でつくのではなく、期待の頂点で達する」「100の株で1$の利益を得るより、10の株で10$の利益を得よ」「1年以内に50%の上昇が見込めない株に手を出す必要はない」「会社の内外や、それが存在する業種をよく知った、同種の少数銘柄に集中投資せよ、ただし注意深く見守れ」reviewを読む限り、その含む価値は同様に大きい。

『投資を生き抜くための闘い』は古典として評価が高いが、技術書ではなく、記事集である。その分軽く読める。Loebの基本的なやり方は10程度の銘柄でportfolioを組み、定期的にもっとも悪い銘柄を捨てて入れ替えていくというもの。また10%の損失が出たら損切という単なるbuy and holdでない損切基準も組み込んでいる。LoebはWyckoffがやる様な日中の極短期投機も理解しており、Buy and Holdの様な単純な長期投資家ではない。

Roy W. Longstreet [ロイ・W・ロングストリート]

    Viewpoints of a Commodity Trader (1968) – 『相場のこころ マーケットの見方・考え方』[★★★★★S]が旧版、『トレーダーの発想術ーマーケットで勝ち残るための70の箴言』は並びや表題などを改良した新装版。江戸時代本の格言などに相当するので、ここに配置する。

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