Charles Henry Dow (1851-1902) [チャールズ・ダウ] – Wall Street Journalの創設者で、Dow Theoryにもとづいて1885ADにDow Jones Average (後のDOW30)という主要株式の平均指数を発明し掲載した。これがS&Pや日経225などの大元。
-
Samuel Nelson “The ABC of Stock Speculation” (1912) – Dow Theoryという言葉を初めて用いた。
William P. Hamilton “The Stock Market Barometer” (1922) – Dowの理論をWSJ連載の中で深め、洗練させた。
Robert Rhea “The Dow Theory” (1932) – DowとHamiltonの研究を総合。
E. George Schaefer “How I Helped More Than 10,000 Investors To Profit In Stocks” (1960)
Richard Russell “The Dow Theory Today” (1961)
DOW理論は、元々は景況を予測するためにDowが考えていたもので、当人による著書はなく、WSJで一緒に働いていた関係者が発展させまとめたもの。
『先物取引のテクニカル分析』に基本が載っており、『マーケットのテクニカル百科入門編』が詳しい。市場平均はすべての要因を瞬時に織り込むといった考え方、相場を潮の干満(長期での上げ下げ)・波のうねり(中期波動)・波先(短期変動)で考える、市場全体・他の主要業種確認などが基盤で、相場を見る上で一番の基本となる。
1929年8月23日に、Wall Street Journal紙は読者に、株式市場で大いに儲けることができると告げた。同誌の特別な水晶玉はダウ理論と呼ばれる。これは将来をじっと見るテクニックであるが、「主要な上昇トレンド」が株式市場に確立されたことを明らかにした。「秋の数ヶ月の見通しは、過去のいかなる時点よりも明るい」と同紙は幸せそうに謳った。ニ、三ヶ月して、誰もが破滅した。『マネーの公理』第四の公理
DOW Theoryの弱点は転換の把握が遅くなることだと『マーケットのテクニカル百科 入門編』第一部第五章 「ダウ理論の欠点」で説明されている。1929暴落の様に天底で短期間に急激な変動が起こる場合確認の遅さは致命的な結果に繋がる危険性が有る。これはあくまでDow Theoryがmajor trendの転換を捉えようとするためだ。Wyckoffの『ストックマーケットテクニック基礎編』 pp.111-117 「ダウ理論を打破する」が統計的にDow theoryの利益率を大恐慌までの期間で調べ上げた研究をもとに批判している。
Richard W. Schabacker (1899-1935) [リチャード・W・シャバッカー] – Forbesの株式担当編集長。Head and sholderやdouble top、flag/pennantなどchart patternを名付けたのがこの人。Gapからの動きも理論化。早逝した。
-
“Technical Market Analysis” (1930)
“Technical Analysis and Stock Market Profits” (1932,1937)
“Stock Market Theory And Practice” (1933)
Robert D. Edwards (1897-) – Schabackerの義兄弟。株式分析家。Dowの理論を再検討し、Schabckerの研究と統合。
John Magee (1901-1987) – RobertとMITで同窓。1942から共同研究し、Robert引退後も研究を進めた。
-
“Technical Analysis of Stock Trends” (1948,1954,1958,1964,1967,1991,1998,2001,2007,2012) 『マーケットのテクニカル百科 入門編』『マーケットのテクニカル百科 実践編』 – [★★★★☆S] 邦版は8版。DOW理論やsupport/resistance lineなど基本をわかりやすく見せた古典。日本語版は二冊に分割されている。実質的に五版で完成されており、以降の版は余計なものを追加しているだけなので古いので十分(日本語版は八版)。基本的なことをまともに解説しているという点で類書がなく、重要。
Peter L. Brandt[ピーター・L・ブラント] – 『一芸を極めた裁量トレーダーの売買譜ー日記から読み解く戦略・心理・トレード管理術』 – 基本的なresistance/support lineと値動きだけからsystem化されたtradeを行う。他の書に無い具体性に満ちている。
Jack D. Schwager “Getting Started in Technical Analysis” (1999) 『シュワッガーのテクニカル分析 初心者にも分かる実践チャート入門』[★★★] – 『マーケットのテクニカル百科』と『先物市場のテクニカル分析』を部分的に混ぜたような内容。flag/pennantなどのchart patternを重視している。より初級者向けかつ実践的。出来高を無視しているのが欠点である一方、chart patternは理解しやすい。またinterviewと自身の実践を通して創り上げた教訓やsystem構築は単なる紹介を越えたものがある。
John J. Murphy [ジョン J.マーフィー]
-
“Technical Analysis of the Financial Markets” (1986,1998) 『先物市場のテクニカル分析』 – [★★★] Dow TheoryからElliot,trend line,flag/penantなどchart形、移動平均、出来高、Cycleなど辞書的に一通り抑えてある。無味乾燥な内容でなく、読んで面白い部分もある。point and figureに詳しいのは珍しい。chart・図版も多く、一冊は持っておくべきだが、実践に用いることの出来る次元の内容ではないのが難。鏑木繁の『先物罫線』の方がわかりやすい。
“Study Guide to Technical Analysis of the Financial Markets: A Comprehensive Guide to Trading Methods and Applications (1987) – 『先物市場のテクニカル分析スタディガイド』 – 辞書の内容を試験にしてしまったことで、より実践性から離れた。資格をとるのでもない限り無用。
“Intermarket Technical Analysis: Trading Strategies for the Global Stock, Bond, Commodity, and Currency Markets” (1991) – 『市場間分析入門~原油や金が上がれば、株やドルや債券は下がる! 』 – 異なる市場間の動きの関連性を調べた本。
“The Visual Investor: How to Spot Market Trends” (1996)
“Technical Analysis of the Financial Markets” (1999) 『マーケットのテクニカル分析――トレード手法と売買指標の完全総合ガイド』- “Technical Analysis of the Financial Markets”の増補改訂版。point and figuresを一章にまとめ、ローソク足、市場間分析、indexの三章を追加。
“Charting Made Easy” (2011)
Zentreprenerなどを出しているJohn J.Murphyは別人。
鏑木繁 『先物罫線 相場 奥の細道』 (1991,2005) [★★★★] – 網羅的に必要なものが一通り載っているだけでなく、お蔭参りや米相場・米国綿花相場といった幅広い罫線、九星循環や六甲伝など東洋のものまであるのは珍しい。図版が多く、説明もわかりやすい。
Humphrey Bancroft Neill (1895-1977) [ハンフリー・バンクロフト・ネイル]
-
“Tape Reading and Market Tactics: The Three Steps to Successful Stock Trading” (1931) – Nicholas DarvasがGerald M.Loebの本とともに愛読したtechnical書。
“48 Million Horses ” (1940)
“The Inside Story of the Stock Exchange” (1950)
The Art of Contrary Thinking (1954) – bubbleの生成と崩壊について扱った本。
Ralph Nelson Elliott (1871-1948) [ラルフ・ネルソン・エリオット] – Fibonacci numbers(フィボナッチ数)と組み合わせて自然界の全てに共通するという波動理論を構築。
-
The Wave Principle (1938) – Elliott Wave発案者の書。
Nature’s Law: The Secret of the Universe (1946) – 自然界から宇宙全てにまで理論を適用・拡大。
Robert R. Prechter, Jr “Elliott Wave Principle: Key to Market Behavior” (1977) “The Basics of Elliott Wave Principles” (1995) – 『エリオット波動入門 相場の未来から投資家心理までわかる』 [★★★★] 解説書として古典的位置。そのまま使うかどうかはともかく、罫線の変動をどう見ていくかということにおいては間違いなく役に立つ。
-
Larry Pesavento “Trade What You See: How To Profit from Pattern Recognition” (2007) – 『フィボナッチ逆張り売買法』は使用例。
Robert C. Miner “High Probability Trading” (2008) – 『フィボナッチブレイクアウト売買法』 Elliott Wave/Fibonacci本で辛うじてマシなようだ。
Carolyn Boroden “Fibonacci Trading: How to Master the Time and Price Advantage” (2008) – 『フィボナッチトレーディング 時間と価格を味方につける方法』
Joe Dinapoli “Trading with Dinapoli Levels” (1998) – 『ディナポリの秘数 フィボナッチ売買法』
DOW Theoryの大きなtrend判断は遅すぎるのでElliottと合わせることでもっと機動的かつ具体的なものになる。
Raymond A.Merriman (1946-) [レイモンド A.メリマン] – 占星術の専門家。底の周期で相場の上げ下げを予測するMerriman Cycle(メリマンサイクル)で有名。
-
“The Gold Book” (1982)
“The Solar Return Book of Prediction” (1977)
“Evolutionary Astrology: The Journey of the Soul Through the Horoscope” (1977)
“Planetary Containments: A Study of 990 Combinations” (1980)
“The Sun, the Moon, and Silver Market” (1992)
“Merriman on Market Cycles: The Basics” (1995) 『相場サイクルの基本 メリマンサイクル論』 (1995)
単に周期を見るのでなく波を基本とするもので、Elliott waveに近い。
William Delbert Gann (1878–1955) [W.D.ギャン] : 様々なGann Theory(ギャン理論)を生み出したおもしろtechnicalの元祖の様な人物。Cycle理論、Gann角度など。魔法陣や占星術も取り入れる。
-
“Truth of The Stock Tape” (1923) – 著作集1
“Tunnel Thru The Air” (1927)
“Wall Street Stock Selector” (1930) – 著作集1
“New Stock Trend Detector” (1936) – 著作集2
“Face Facts America” (1940)
“How to Make Profits in Commodities” (1941) – 著作集2
“45 Years in Wall Street” (1949)
“The Magic Word” (1950)
“WD Gann Economic Forecaster” (1954)
『W.D.ギャン著作集-株価の真実・ウォール街 株の選択』
『W.D.ギャン著作集〈2〉株式トレンドを探る・商品で儲ける法』
林康史『ギャンの相場理論』 – 著作集I,IIを元に技法だけを説明。林は著作集にも解説を寄せている。
James A. Hyerczyk “Pattern, Price & Time: Using Gann Theory in Trading Systems” (1998)『実践ギャン・トレーディング―相場はこうして読む』- 理論の実践。
Robert Krausz “W.d. Gann Treasure Discovered” (2005) 『ギャン 神秘のスイングトレード – 摂理に基づいた短期売買のタイミング』 Gannは売名に使ったに過ぎず、実質的にRobert独自のHi-Lo systemによるsystem売買。Gannの実践例として見るには不適。売買譜とDVDがついている。
青柳孝直 – Gann理論を勝手に一目均衡表などと組み合わせた独自のやり型をさもGann専門本かの様に見せかけているだけ。いい評判は見ない。例えば、Geoge McLaughlin(ジョージ・マクロークリン)・青柳孝直 『ギャン理論―すべての現象の中にルールがある』 は、”Geoge McLaughlin”もしくは”George McLaughlin”なる者は検索しても出てこない。英題名”The Basic Gann Theory”の英書も存在しない。青柳の『[新版] ギャン理論』などは、Gann Theoryを一目均衡表と組み合わせて適用した本であり、この本も恐らく青柳の単著。内容はGann theoryを彼流に解釈・利用したもの。
Gannについては、林輝太郎『うねり取り入門』 pp.149-153が面白い。他にも『ラリー・ウィリアムズの株式必勝法』にGannの息子が親父のやり方でまったく儲からないので素人騙しをやって糊口をしのいでいる話とか。
ギャンの決して失敗しない24のルール
ギャンの価値ある28のルール(W. D. Gann’s “Twenty-eight Valuable Rules)
Edson Beers Gould Jr. (1902-1987) [エドソン・グールド] – technical分析に基づき正確な転換予測を為した。「Findings & Forecasts」が彼のnews letter。
-
“The Optimist” 高校在籍時代の同人本かなにかか。
“A Collection of Rare Writings” (2013) – 基本的にはnews letterと記事を書いていた人物であり、まとまった著作はない。
Joseph E.Granville (1923–2013) [ジョセフ・グランビル] – 日本では移動平均線を軸にした「グランビルの法則」で知られるが、On-Balance Volume (OBV,累積騰落出来高指数)が有名。Newsletterを通じて預言者のように振る舞い大きな影響力を持った。
-
A Schoolboy’s Faith: Impressions of a Todd student (1941) – Todd Seminary for Boysについて書いた本だと思われる。
Everybody’s Guide to Stamp Investment (1952)
Granville’s New Strategy of Daily Stock Market Timing for Maximum Profit (1960) – 『グランビルの投資戦略―株価変動を最大に活用する技法』
Granville’s New Key To Stock Market Profits (1963)
How to Win at Bingo (1977)
The Book of Granville Reflections Of A Stock Market Prophet (1984)
The Warning: The Coming Great Crash in the Stock Market (1985) – 『グランビルの警告―大暴落は来るか?』
The Stock Market Teacher: Technical Analysis for the Post-crash Period (1988)
Granville’s Last Stand: Secrets of the Stock Market Revealed (1995)
Price Predictions for the Next Five Years in Mint U. S. Commemoratives and Airmails, 1947-1951 (2013)
Price Predictions, V2: Mathematical Tables and Supplementary Data (2013)
川合正治 『グランビルの投資戦略早わかり―アメリカ式株式チャート実践入門』 (1986)
第6回 「グランビルの法則」をマスターして売買タイミングをつかもう! | 株式会社ストックゲート
川口一晃 基礎から学ぶテクニカル教室 「11.OBV」 – OBVは『先物市場のテクニカル分析』 pp.203-211ないし鏑木繁『先物罫線』pp175-176に解説。1981年のはじめに、株式市場のカリスマ的存在であるジョセフ・グランビルが、株式市場は崩壊しようとしていると断言した。「すべては売れ」と、グランビルは彼の助言サービスを購読する数千もの弟子たちに指示した。予想された崩壊は起こらなかった。市場は1981年を通じて上がったり下がったりを続けた。グランビルは依然として弱気相場を予想していた。翌年の1982年、すばらしい強気相場が始まり、それは人の記憶に残る最も強力な強気相場だった。取り残された人々は心底、後悔した。グランビルだけが強気相場を予測できなかったわけでも、その反対を予想していたわけでもない。『マネーの公理』第四の公理
野坂晃一・増田克実
-
『移動平均線の新しい読み方 – 6つのポジションで相場を見通す』(2010) [★★☆] – 単純移動平均(SMA)・加重移動平均(WMA)・指数平滑移動平均(EMA)などの各移動平均の計算方法はもちろん、移動平均線bandを使った売買や、「グランビルの法則」も図示。初心者はこれ一つ抑えておけば十分で、むしろ余計なtechnicalは害になる。
John A,Bollinger [ジョン・ボリンジャー]
-
“Bollinger on Bollinger Bands” (2001) – 『ボリンジャー・バンド入門』。開発者当人が書いており、その分細かすぎる面も。bollinger bandsは、一定期間の移動平均線を中心に変化した量の偏差値で段階をつけて幅を取り、外側に行くほど可能性が低くなるという指標。
Thomas J. Dorsey “Point and Figure Charting” (1995) 『最強のポイント・アンド・フィギュア分析――市場価格の予測追跡に不可欠な手法』 – Point and Figureや新値足といった時間軸を無視して一次元の価格上下変動だけを並べるものは、本筋の玄人には評判はよくない。時間単位が短いFXなどでは役に立つという成功者もいるが、その個人に依存する芸の要素が強いものだろう。
林輝太郎 『定本酒田罫線法』(1997) – 輝太郎唯一のtechnical本。本間宗久作と謂われる諸本を分析し、その実相に迫ると同時に、酒田罫線法の本来の姿を解き明かしている。backtestを行っての統計も出している。しかし、複数の限月が並行取引される先物を前提とした解説であり、読んでそのまますべてがすっと身につくようなものではない。
世界的に有名な酒田罫線法は日足を用い、三~七本の組み合わせを見て強弱を判断するものだが、基本は「どういう日足の組み合わせ(線組みという)が自然な動きか」それに「どういう変化が現れたか」を見るのであり、まさに異常の発見そのものなのだ。『財産づくりの株式投資』 pp.218-219
木佐森吉太郎 (1906-1990)
-
“株式実戦論” (1953)
“株式罫線の見方使い方 - その魔力と科学性” (1955) – ローソク足を心理とともに解説した古典。『株式罫線の見方使い方 - 投資家のための戦略図』(1969)が改訂版。
“新株式実戦論” (1957)
“株式罫線の見方使い方 - 投資家のための戦略図” (1969) [★★★★★S] – 相場の揺籃期・青年期・老年期といった段階、売る側買う側の心理や都合などchartの裏にある情勢を解説している。
“相場道の極意 - 現代に生きる相場格言” (1970,1986)
“株式投資家心得帳” (1973)
“株式罫線の実践的活用” (1977)
“入門会社四季報(秘)利用法” (1982)
“証券投資入門” (1955,1958,1975)
“株式罫線 - 株界五十年の経験 決定版” (1983)
“誰でもできる株式投資” (1985)
小澤實 『相場に勝つローソク足チャートの読み方』(2002) – “明けの明星”や”赤三兵”などローソク足の型を実例とともに多数紹介し、その裏にある相場参加者の動きや心理を解説している。欠点なのは週足基準であるために、無理があること。『定本酒田罫線法』を読めばわかるが、ローソク足の変化はあくまで日足で判断するのが本来で、しかも型は一種の迷信である。とは言え、面白く親しみやすい良本。
伊本晃暉 『ローソク足パターンの傾向分析-システムトレード大会優勝者がチャートの通説を統計解析』 – 酒田五法のpatternを統計的に分析している。検証期間を「全期間(1983-2009)」と、その中の「バブル(1983-1989)」「崩壊(1990-1992)」「もみ合い(1993-1999)」「暴落(2000-2002)」「暴騰(2003-2006)」「金融危機(2007-2009)」と分けている。
ローソク足の基本・応用について | 波動展望の部屋 – 基本形や組み合わせを売り方・買い方の攻防から説明している。
ローソク足の基礎知識 | 株チャート分析と個人投資家の心理学 – 連続する足を合算して見るのは、そもそも一本の足にも行き戻りが含まれるのだから合理性がある。
細田悟一 (1898-1992) – 商品市場担当記者。一目山人を称し、1936ADに新東転換線(一目均衡表)を開発し、発表した。
-
『一目均衡表』(1975)
『一目均衡表 完結編』(1976)
『一目均衡表 週間編』(1975)
『わが最上の型譜』(1977)
『一目均衡表 真技能編』(1981)
『一目均衡表 綜合編』(1979)
『一目均衡表 綜合編 後編』(1980)
三世一目仙人(2010)『一目均衡表の原理 押し戻りの考え方と三波動構成理論』 – 孫の細田哲生(経済変動総研)が”一目均衡表”の商標権を持っているため、他の解説書にはこの人物が関わる。
佐々木英信『一目均衡表の研究』 (1996) – 難度は高いが本質的な部分が理解できるという。
福永博之 『FX 一目均衡表ベーシックマスターブック』 (2012) – 福永先生のブログdeFXセミナーの一部を書籍化。
一目均衡表は、どうとでも見て解釈できる曖昧なもので、難解で役に立たないという人の方が多い。日本の一部でしか使われていないので、自己実現性が低い。高価な商材商法(しかも意図的に一部を絶版にして密教化)をやっており、その商材を見たりseminarを受けないと理解できないというのでロクでもない、と三拍子揃っているので相手にする必要はない。実態は林輝太郎『相場師スクリーニング』pp.201-204に出ている。
柴田秋豊 (1901-1972) – 5000年に及ぶ罫線を分析したとかいう柴田罫線の発明者。天底での転換を捉えられるのが特徴で、本流・亜流含めて随分商法として売られた日本版の「聖杯」。柴田自体は東証・業種の修正平均(DOW30などと同じ)を売っていた。
-
『柴田秋豊 「私の履歴書」』 柴田の弟子であった谷畑侊昭と関係の深い清光経済研究所が詳しい。
田丸好江『女だって株で勝つ!―私の1年間132連勝全記録(売買報告書付)』 (1998) – 柴田罫線で転換を捉えて一割の利食いを繰り返すという手法。著者の本は全般に評価が低いが、この処女作は売買報告書がついているので柴田の実践例として役立つかも・・・と思ったがやはり柴田全体が典型的な「虹の端の宝物」だろう。
全体を見渡して見た所、罫線のパターン分析の数の多さ、細かく念入りな所は全く脱帽してしまいます。パソコン分析のない時代にこれは最も周到で緻密な研究のひとつであるだろうと思わせるものが確かにあります。何しろこ罫線パターン分析というのは、現在、相場分析の中では最先端のそのまた最先端を行く分析なのですから、分野としては最も新しいことをやっていた、ということになるのです。従来の100年程築かれてきたテクニカル分析は全て、相場という全体の市場活動を何らかの断面で切ってその切り口の特徴点で予測の手掛かりを掴み出そう、というものだったのですが、それ以降の最新の分析は、折角コンピューターを使っていながらこんな一面的な数式処理をいくらやっても仕方が無い、全体を全体として、無数のパターンを記憶し参照し、比較し引用し、そして最終的に「判断する」ことがコンピューターにはできる筈だ、というのが分析の最先端です。となると、これは正に柴田罫線が大昔に念入りに試みているのと方向は同じなのです。ただそれが全てのパターンを人間が見て、人間が参照比較し、判断するので、何ともハヤ…。見ている内に目が回って来てしまいました。普段の3:30から取り掛かるコンピューター作業よりはるかにしんどいものがあり、翌日まで疲れが残りました。果たしてこれが実践の時に有効な判断に結ぴ付けられるだろっか、それぞれのパターンの当てはめの作業を通して本当に取捨選択や重みの判定ができるだろうか…という思いが正直言って残りました。正にこの複雑な作業が今コンピューターに求められているもので、人間ができないからこそ相場のカオス全体をコンビューターに「総合判断」させている訳です。それを全部自分の目と判断力でやるとなると…。これは大間題だ、という気がします。テクニカル分析講座 サンライズ CO. 幻の柴田罫線 中川隆
Richard W. Arms Jr.(1930s-) [リチャード・W・アームズ・ジュニア] – TRIN(TRading INdex/Arms Index)や出来高対応chartなど出来高を組み込んだtechnical toolの発案者。
-
“The Arms Index Trin” (1988)
“Trading Without Fear” (1996) 『相場心理を読み解く出来高分析入門ーアームズ・インデックスによる勝利の方程式』旧題 『アームズ投資法』[★★] – Arms Index(TRIN)というのは市場の(上昇銘柄数/下降銘柄数)/(上昇銘柄の出来高合計/下降銘柄の出来高合計)で算出するもので、騰落率を出来高比率で割って、より確実に市場が上昇傾向にあるか下降傾向にあるかを見る指標。Armsはローソク足chartの時間軸を出来高で膨らませる出来高対応chartを開発して値幅だけでなく出来高運動を可視化できるようにし、さらにその変形ローソク足の縦辺を横辺で割ったEMV(Ease of Movement)、他にも出来高調整済み移動平均(VAMA)など、既存のtechnical toolに出来高を組み込んだものを判断に使っている。その独自性を除けば、表現は自然でわかりやすく、指標の有効性はともかく基本的な道理に則ったもの。もっとも役に立つのはTRINと出来高対応chartだが、後者は出来高次第で幅が異なるので時間軸を歪めてしまう危険性がある。
Anna Coulling – アナ・クーリング。評価の良い初心者向けの本を書いている人。
-
A Complete Guide To Volume Price Analysis (2003) – 『出来高・価格分析の完全ガイド ──100年以上不変の「市場の内側」をトレードに生かす』 ローソク足の動きと出来高を連動させて、その動きに実態があるか、相場操縦の類かを説明。出来高が薄いのにローソク足が上下しても、相場操縦の疑いが多分にあるので、組み合わせてみるとしっかりしたものになる。
Timothy Ord [ティモシー・オード] : Wyckoffのやり方を改良したとかいうOrd Volumeが売り。
-
The Secret Science of Price and Volume:Techniques for Spotting Market Trends, Hot Sectors, and the Best Stocks (2008) – 『スイングトレードの法則: 出来高分析で仕掛けがわかる』。swingごとの出来高を合算して平均値を出し、それを上下変動と比べることで天底を判断する手法。この人はtechnical研究mania的な面がかなりある。
Mark B. Fisher “The Logical Trader” (2002) – 『ロジカルトレーダー』。pivot(前日高値+安値+終値/3)を基盤とする、ACD system。役に立たない。
J. Welles Wilder, Jr. (1930s-) – J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア:ATR(Average True Range)、RSI(Relative Strength Index)/ADX(Average Directional Index)/Parabolicなど多用されるtechnical toolを幾つも開発。
-
New Concepts in Technical Trading Systems (1978) – 『ワイルダーのテクニカル分析入門-オシレーターの売買シグナルによるトレード実践法』RSI/ADX/Parabolicなどを生み出した当人による解説。
The Adam Theory of Markets or What Matters Is Profit (1987) – 『ワイルダーのアダムセオリー』
Gerald Appel – ジェラルド・アペル。MACDの開発者。著書は多いが評価が高いものは少ない。
-
99 ways to make money in a depression (1981)
Stock Market Trading Systems (1990)
Winning Market Systems : 83 Ways to Beat the Market (1991)
Technical Analysis: Power Tools for Active Investors (2005) – 『アペル流テクニカル売買のコツ MACD開発者が明かす勝利の方程式』
Opportunity Investing: How To Profit When Stocks Advance, Stocks Decline, Inflation Runs Rampant, Prices Fall, Oil Prices Hit the Roof, … and Every Time in Between Hardcover (2006)
Understanding MACD (2008)
Beating the Market, 3 Months at a Time: A Proven Investing Plan Everyone Can Use (2008)
Markus Heitkoetter [マルクス・ヘイトコッター] 『ボリンジャーバンドとMACDによるデイトレード 世界一シンプルな売買戦略』単に二つの指標でやってみましたという本。無用。
Thomas R. DeMark [トーマス・R・デマーク]
-
The New Science of Technical Analysis (1994) – 『デマークのチャート分析テクニック――マーケットの転換点を的確につかむ方法』 まったく見かけない独自の分析手法を多数掲載。
Thomas N. Bulkowsk
- Encyclopedia Of Chart Patterns (2nd 2005) – 単なるpattern総覧ではなく、それぞれの成功や失敗の確立を検証している。
David Aronson (1940s-) [デヴィッド・アロンソン] – technicalとdata分析の助教授油。
-
Evidence‑Based Technical Analysis – 『テクニカル分析の迷信: 行動ファイナンスと統計学を活用した科学的アプローチ』 – 6402のtechnical手法を実際にbacktestした所、有効なものは一つもなかったという結論。
Charles LeBeau – チャールズ・ルボー
-
Technical Traders Guide to Computer Analysis of the Futures Markets (1991) – 『マーケットのテクニカル秘録――独自システム構築のために』 基本的なtechnical分析の説明とそれを使ってどうmechanical tradeするかのごく基本的内容。
Thomas Stridsman – トーマス・ストリズマン
-
Tradings Systems That Work: Building and Evaluating Effective Trading Systems (2000) – 『トレーディングシステム入門 ― 仕掛ける前が勝負の分かれ目』 – 本当の意味でのalgorithm取引を組む上での入門書。
Tushar S. Chande – トゥーシャー・シャンデ
-
Beyond Technical Analysis (2001) – 『売買システム入門――相場金融工学の考え方→作り方→評価法』オランダのチューリップ熱やフランスの「ミシシッピ計画」、イギリスの「南海泡沫事件」などについて書かれている。
Robert Pardo [ロバート・パルド]
-
Design, Testing, and Optimization of Trading Systems (1992)
The Evaluation and Optimization of Trading Strategies (2008)- 『アルゴリズムトレーディング入門――自動売買のための検証・最適化・評価』は、『トレーディングシステムの開発と検証と最適化』を更新・補追したもの。 Walk forwardという単純な過去のbacktestよりもマシな検証方法。
Brent Penfold [ブレント・ペンフォールド]
-
The Universal Principles of Successful Trading (2010) – 『システムトレード 基本と原則』[★★★☆] – 単なるalgorithm取引の本ではない。「勝者と敗者を分かつものは心理以外の何物でもない」というメッセージに対して、「私はこれに賛成しない。 敗者が勝てないのは、自分の手法を確認して検証することを知らないからだ。心理も大切だが、私は資金管理と売買ルールのほうを上位に置くべきだと思っている。」資金管理について非常に優れており、technical toolの有効性についてをこれほど切り込んだものはそうない。「変数を含むどんなtoolも主観的すぎるのだ。それは柔軟すぎて頼りにならない。それは単にあなたを電子的に複製するだけだ。それらは進んであなたの家来になり、あなたが入力したものを喜んでそのまま返してくれる。あなたがまだ知らないことは何も教えてくれない。それらはあなたが与えたものの姿を変えているだけだ。それらは頼れるだけの客観性や独立性を持っていない。それらは売買法を過去のdataにぴったり合わせるのを、進んで助ける協力者になるのだ」「12際の子供があなたと同じようにそのtoolを解釈できなければ、それは捨てるべきだ。解釈の余地はない。それは固定されていなければならない。単純明快で、白黒がはっきりしている。あちこち灰色の部分はない。」
林輝太郎 『相場師スクリーニング』 pp210-222